タンランチュエン



タンランチュエンについて
 タンランチュエンの発祥は(他のウーシューに比べて)比較的新しいものです。
 創始者であるワンランはウーシュー諸流派の様々な長所を取り入れ、更にカマキリの手法と猿の歩法を以ってこれらをまとめあげ、まったく新しい武術大系を作り上げたのです。
 タンランチュエンの特徴はまずなによりもその素早い動きです。『一吐五拳』とも呼ばれるように、一度の呼吸の間に五回突きを繰り出すというほど、速度に関しては他の武術の及びもつかない領域にあります。
 他の武術、例えばバージーチュエンやナハディとは異なり、タンランチュエンには『一撃必殺』という概念はありません。先に言った『一吐五拳』で言えば、四回の拳は最後の一回の拳で相手を仕留めるための布石なのです。
 またカマキリの動きから取り入れた手法(『蟷螂手』と呼ばれます)は的確に相手の急所を貫く為、硬い鎧に身を包んだ相手であっても達人であれば一撃で仕留めることも可能です。
 これは他の武術においても同様の事は言えますが、例えばバージーチュエンなどは発勁によって鎧の上から相手を打ち倒すのに対し、タンランチュエンは鎧の隙間を打ち抜くという違いがあります。とはいえ、タンランチュエンに発勁が存在しないわけでは勿論ありませんが。

 タンランチュエンには以下の戒律があります。

・無用な殺戮・無益な戦いは避けなければならない

 戒律とは言え、破った者に罰則があるわけではなく、またプリースト技能のように剥奪されるという事もありません。
 ただし、あまりにその行いが戒律からかけ離れていた場合、最高指導者直々に破門を言い渡され、二度とタンランチュエンを学ぶ事が出来なくなる(技能LVを上げられなくなる)可能性もあります。
 その上で尚、行いが改善されないようであれば、制裁の為に拳士が派遣される事すらあります!
 GMは、タンランチュエン使いがあまりに戒律からかけ離れた行いをするようであればそれとなく注意して下さい。
 また、タンランチュエンを学ぶ者には以下の特典がつきます。

 ・『蟷螂手』を使用可能
 ・『猿侯歩法』を使用可能
 ・『連環劈』を使用可能
 ・『タンランチュエン特殊招式』を使用可能

蟷螂手(とうろうしゅ)
 蟷螂(カマキリ)の手を模した手法です。人差し指と中指を伸ばし、親指をそれに添えて鎌の形を創ります。戦闘時においては主に相手の急所(点穴や眼球など)を突きます。
 この為、蟷螂手の使用を宣言していると素手による攻撃の追加ダメージが−1される代りにクリティカル値が−1されます。
猿侯歩法(えんこうほほう)
 猿の動きを模した歩法です。常に低い体勢で全身にバネを溜め、小刻みに動いてリズムを取りながら相手の的をずらすと同時にいつでも動けるようにする準備動作も兼ねています。
 この為、猿侯歩法の使用中は回避力に『ウーシュー技能レベル÷5(端数切り捨て)』のボーナスが加算されます。
 また、敏捷度に関係なく行動順が常にラウンドの最初に行なえる様になります(従来の自分の行動順で行なっても良い)。
連環劈(れんかんへき)
 タンランチュエンの真髄、閃光のように素早い連続攻撃です。途切れることのない連続攻撃で相手をひるませ、そしてとどめに本命の一撃を叩きこむのです。
 この能力を使うと、使用者は最大で自分の『ウーシュー技能LV÷2(端数切り上げ)』回の攻撃を一度の行動順で行なう事が出来ます。Lv1ならば1回、LV5ならば3回です。ただし1回を越えて攻撃回数を増やすたびに精神点を2ずつ消費します。2回の攻撃ならば2点、3回の攻撃ならば4点を消費します。
 1回以上に増えた攻撃回数は最後の一撃を叩き込む為のである為、殺傷能力はありません。その代わり、虚の攻撃を行なった1回につき、最後の一撃の攻撃力か追加ダメージに+1することが出来ます。
 虚の攻撃を複数回行なった場合、攻撃力と追加ダメージのどちらにどれだけを割り振るかは使用者の任意ですが、攻撃判定のダイスを振る前に宣言する必要が有ります。
 例1
 Lv3のタンランチュエン使いが2回攻撃を行なった場合、内1回が虚の攻撃となります。この場合、攻撃力か追加ダメージに+1のボーナスを加算出来ます。

 例2
 Lv7のタンランチュエン使いが4回攻撃を行なった場合、内3回が虚の攻撃となります。この場合、攻撃力か追加ダメージに合計で+3のボーナスを加算出来ます。3点を攻撃と追加にどのように割り振るかは使用者の任意です。全てを攻撃力に、あるいは追加ダメージに割り振ることも出来ます。

タンランチュエン特殊招式
 タンランチュエンを学ぶ者のみが使用可能な招式です。使用の際の条件は基本招式に準じます。
LV2タンランチュエン特殊招式
捕蝉式(ホゼンシキ)
持続:一回の攻撃に対して 基本消費精神力: 距離:術者 範囲:術者への攻撃
 蟷螂手使用状態でのみ行なえる回避行動。相手の白兵攻撃を蟷螂手で絡め取るようにして抑えてその腕を封じ、こちらの攻撃を当て易くする技法です。
 捕蝉式によって攻撃を捌かれた相手は次の自分の行動順まで攻撃と回避に−1のペナルティを被ります。
 ゲームマスターは、常識的に考えて不可能だと判断した攻撃に対してはこの招式の使用を禁じることが出来ます(流石に、ドラゴンの噛みつき等を捕蝉式で捌くのは少々無理があるでしょう)。  

LV3タンランチュエン特殊招式
前掃腿(ゼンソウタイ)
持続:一瞬 基本消費精神力: 距離:接触 範囲:個人
 一瞬身体を沈みこませ、薙ぎ払うような鋭い蹴りで相手の足を刈り、転倒させる蹴り技。ダメージを与えることが目的では無い技なので追加ダメージに−2されますが、ダメージが通った場合対象は転倒します(転倒状態は精霊魔法の『スネア』に準じる)。
 蹴り技なので蟷螂手との併用は不可能ですが、発勁との併用は可能です。  

LV4タンランチュエン特殊招式
箭疾歩(センシッポ)
持続:一瞬 基本消費精神力:16 距離:使用者の移動力m 範囲:個人
 猿侯歩法使用時にのみ使用可能な招式です。猿侯歩法によって全身に蓄勁された勁力をバネとして一気に放つことで相手の距離感を狂わせつつ一足飛びに突進し、一撃を与える打法です。
 この技はチャージアタックとして扱いますが、猿侯歩法と組み合わせているので判定はラウンドの最初に行なえます(勿論、通常通りに自分の行動順や最後に行なうことも可能です)。
 突進の勢いが打撃に加わる為、打撃力に+10されます。使用を宣言したラウンド中は回避力に−4のペナルティを被る(泥歩が有る為、実際は−2になりますが)ことなどは通常のチャージアタックに準じます。
 蟷螂手発勁との併用は可能です。  
穿弓腿(センキュウタイ)
持続:一瞬 基本消費精神力:12 距離:接触 範囲:個人
 一瞬身体を沈みこませ、腕で全身を支えながら脚で相手を蹴り上げる技。追加ダメージ及び攻撃力に+1の修正を受けます。使用後は丸1ラウンドの間回避に−2の修正を被ります。
 蹴り技なので蟷螂手との併用は不可能ですが、発勁との併用は可能です。  

LV5タンランチュエン特殊招式
七星天分肘(シチセイテンブンチュウ)
持続:一瞬 基本消費精神力:20 距離:接触 範囲:個人
 片手で相手の腕を捕蝉式によって捉え、空いた手の弧拳(曲げた状態の手首の外側の部分)で対象の顎を打ち抜きつつ同時に脚払いをかけて相手を転倒させる、いわば極、打、投の三種の技を同時に行なうという高度な技法です。
 高度な技法であるだけに技を極める為にはいくつかの制限と条件があります。制限としては、まず対象は人間に準じた体格でなければなりません(判断はGMに委ねますが、技の性質上から最低限でも腕が2本で脚が2本、さらに頭がある、程度には『人間』の形をしているべきでしょう)。
 条件として、この技を決めるためには、まず捕蝉式で対象の攻撃を捌いている必要があります。捕蝉式によって相手の腕を捕らえてからでなければ七星天分肘の形に入ることは出来ないので注意してください。
 七星天分肘を対象に命中させた場合、対象はバギツの投げ技を受けた時と同等の効果を被ります。ただし、この時の打撃力は0ではなく使用者の素手の打撃力を用います。
 蟷螂手発勁との併用は不可能です。  



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