バギツ
ウーシュー技能の流派の一つ、バギツについて紹介します。
バギツはその発祥こそ古いものの、常に研鑚と改良、発展を繰り返してきたウーシューです。
打撃よりも組み技、投げ技、極め技を重視しているそのスタイルはともすれば必殺の感が薄く取られがちですが、ある意味これほど実践的な流派もありません。
相手に組み付くことにより相手の持つ武器を無力化し、投げ飛ばすことで体勢を崩し、極め技で四肢の機能を奪うという技術大系は、まさに積み上げられた研鑚のなせる技です。
そのスタイルからバギツは得物を必要としません。それ故、非常時の護身術としても重宝されています。
また、現在の技術大系の根幹を創始したジゴロゥ・カノーの『老若男女の別を問わず学べるウーシューを』との思想から、年齢・性別の区別無く多くの人が学んでいます。
バギツには厳密な意味で護らねばならない戒律はありません。
ただし、ウーシューの本質は武であり、争いを収めるという意味合いですから、やたらと好戦的な性格は好まれません。
また、バギツを学ぶ者には以下の特典がつきます。
・『受け身』の能力を使うことが出来る。
・『組み手』の能力を使うことが出来る。
受け身
基準値:敏捷度
バギツは投げ技、崩し技を重視するウーシューですから、当然それらに対抗する術も練られています。
地面に叩き付けられる際、巧妙にその衝撃を逃がしてダメージを軽減する術を心得ているのです。
『投げ技』によってダメージを受けた際、通常陥る可能性のある朦朧状態を、判定が1ゾロでない限りは回避できます。
バギツを学ぶ者は何よりもまずこの能力を体に叩き込まれるので、不意の転倒、落馬、落下などの際にも使用することがかないます。
そのため、使用する条件こそウーシューのそれに準じますが、シーフ技能の『アクロバット』の能力と同様に高所からの落下のダメージを軽減する為にも使えます。
『アクロバット』と同じく落下mから『ウーシュー技能LV+敏捷度ボーナス』mを引いた高さから落下したものとしてダメージを計算します。
尚、逆もまた真なりという事でシーフ技能の『アクロバット』でも『受け身』と同様の効果を得られる事とします。
組み手
基準値:器用度
バギツの技術は、そのほとんどが相手と接触することから始まります。『組み手』はそのための能力です。
通常の攻撃と同様に判定し、相手が回避しそこねたら『組み付いた』事になります。
組み付かれた相手は、通常通りの動きを発揮することができません!
そのため『組み手』を仕掛けられ、回避し損ねた場合は以下の制限を受けます。
・極端に密着した状態になる為、使用できる武器がダガー(もしくは素手)に限られる。
・攻撃できる相手が組み付いてきた相手だけに限られてしまい、その上攻撃と回避に常に−2のペナルティを受ける。
・盾による回避力ボーナスが得られなくなる。
ただし仕掛けられた側も『組み手』能力を持っている場合、この制限は受けません。
『組み手』を解くには、自分の行動を消費して『(ファイターかシーフかウーシュー技能+筋力)−2』か、所持しているのならば『組み手』による抵抗ロールを試みて『組み手』を行っている側の『組み手』達成値を上回らなければなりません。
自分の行動より先に『組み手』を解除された場合、仕掛けていた側はそのターンは何もできなくなります。
『組み手』には以下の制限及び修正が有ります。
・『組み手』を行使している場合は神聖魔法および暗黒魔法とバギツ特殊気功術以外の行動は一切取れない。通常の気功術も行使できなくなる点に注意。
・スライム、蛇など『転倒』状態の起きない(もしくは非常に起こり辛い)存在には使用できない。
・『転倒』状態にあるものには使用できない。
・空を飛んでいる存在には使用できない。
修正
状況
−2
対象が金属鎧を着ている
−1/1m
対象が自分よりも1m以上大きい(1m未満は切り捨て)
−2以上
対象が人間に準ずる体型をしていない
例:馬・獅子などの四足獣は−2、蠍、ヒュドラなどのもう根本から違う形態の生き物は−8
バギツ特殊気功術
バギツを学ぶウーシュー使いのみが習得できる特殊な気功術です。すべて『手加減』を使用できます。
特別な記述のあるもの以外はすべて『組み手』に成功しないと使えませんが、記述の有無に限らず『組み手』を行なったラウンドにそのまま試みることが出来ます。
また、その特殊性故に、特に記述があるもの以外は基準能力値が器用度になります。
加えて、すべて通常武器無効の相手には効果がありません。
・LV3気功術
投げ技
持続:一瞬 基本消費精神力:9 距離:接触 範囲:個人
相手の重心を崩して投げ飛ばす、バギツの基本とも言える技法です。
背負い投げ、内股、大外刈り、巴投げ、裏投げ……細分化すればきりがないので全てを総称してこの気功術でくくります。
行使する為にはまず『組み手』をしていなければなりませんが、『組み手』に成功したラウンドに即座に試みることが出来ます。
その状態で、こちらの『ウーシュー技能LV+器用度ボーナス』を基準値とした(つまりウーシューによる攻撃力です)攻撃を行い相手が通常通りの回避に失敗した場合(『組み手』のペナルティがかかることを御忘れなく)相手は『投げ』られてしまいます。
ただし『投げ技』の行使には『組み手』と同じ制限/ペナルティがつきます。
『投げ技』のダメージは一律で
打撃力0
、
クリティカル値12
となります。追加ダメージはウーシュー技能LV+筋力ボーナスです。
このダメージは鎧による減点は行なえず、レベル及び魔法的な防護でのみ減点が可能です。
『投げ技』でダメージを被った場合、即座にその時の『投げ技』の達成値を目標値とした精神抵抗ロールを試みなければなりません。このロールはバギツの能力の『受け身』かシーフ技能の『アクロバット』の能力があれば、1ゾロ以外は自動的に成功します。
このロールに失敗した場合、犠牲者は次の丸々1ターンの間朦朧状態となり、攻撃回避以外の行動が取れなくなります(『パリィ』や『抵抗に専念』も行えません!)。更に、その間は回避と精神抵抗に−2のペナルティが課せられてしまいます。
そしてダメージの有無に関わらず、回避に失敗した相手は自動的に『転倒』状態になります。これは『スネア』その他の魔法で起こる状態と同じとして扱います。つまり朦朧状態になってしまったものは、実質のペナルティを−4も被ってしまうという事になります。
転倒状態になるので、当然『投げ技』を行使して成功した後は『組み手』は自動的に解除されます。
・LV4気功術
蔓
(かずら)
持続:集中(解かれるまで) 基本消費精神力:16 距離:接触 範囲:個人
人間の四肢のいずれかの関節を極めてダメージを与える気功術です。それと同時に相手の身体の自由を奪い、身動きを取れなくもします。
攻撃判定の前に、四肢の内何処を狙うかを宣言します。攻撃命中後、毎ターン打撃力0の
鎧による防御効果無視
のダメージを与え続けます。追加ダメージは『バギツLV+筋力ボーナス』となります。
クリティカルはありませんが、ダメージ決定の際に11か12を出した場合は目標とした四肢の関節が破壊され、そのダメージが完全に癒えるまでその四肢は使用できなくなります。
『蔓』に捉えられている間は、『組み手』を受けている時と同様に攻撃と回避に−2のペナルティを受けます。とはいえ、『蔓』を仕掛けているウーシュー使いは『蔓』を続けるか解くか以外の行動はとれないのですが。
犠牲者の側から解くには自分の行動を消費して攻撃側の『ウーシューLV+器用度』に対しての『冒険者LV+筋力−2』か『ウーシューLV+器用度』のどちらか高い方を基準とした(モンスターは攻撃点を用います)抵抗ロールに成功しなければなりません。
『蔓』は例外的な『組み手』を行わなくても仕掛けられる気功術です。但し、『組み手』から仕掛けた方が有効である事は否めません。
但し相手が転倒している場合はその限りではありません。以下に『蔓』を仕掛ける際の修正及び制限を載せておきます。
・立っている相手には−4のペナルティ(『組み手』と相殺すれば実質−2)
・転倒している相手には−2のペナルティ(『転倒』状態の修正と相殺されるので実質±0)
・金属鎧を着ている相手には−4のペナルティ(『組み手』や『転倒』と相殺すれば実質−2)
・人間に準じない体格のものには仕掛けられない
・自分より1m以上大きなものには仕掛けられない
・LV5気功術
重ね当て
持続:一瞬 基本消費精神力:20 距離:接触 範囲:個人
組み手の状態から放たれる打撃です。基準値が精神点である事も含めて基本的な扱いは通常の気功術の『発勁』とまったく同じとしますが、以下の点が異なります。
・打撃力が10(抵抗されると0)
・『通常武器無効』の相手には効果を発揮しない
『組み手』から放たれるので相手の回避には−2がかかる事をお忘れなく。
また、使用の後は自動的に『組み手』は解除されます。
・LV6気功術
蛇
(くちなわ)
持続:集中(解かれるまで) 基本消費精神力:30 距離:接触 範囲:個人
『蔓』と同じく相手に組み付き、動きの自由を奪いつつダメージを与える気功術ですが、『蔓』が関節を極めてダメージを与えるのに対して『蛇』は相手の頚動脈を締める事によってダメージを与えます。
攻撃判定・解き方は『蔓』に準じます。
ダメージも『蔓』と同じく毎ターン打撃力0の
鎧による防御効果無視
のダメージを与え続けます。追加ダメージは『バギツLV+筋力ボーナス』となります。
こちらもクリティカルは起こりませんが、ダメージロールで11か12を出した場合には相手が気絶します。いわゆる『オチる』という奴です。
この状態は大変危険です。なぜなら脳への酸素供給が停止しているのですから、放っておけば30分で死に至ります。
オチた状態から復活させるにはレンジャー技能の『応急手当』を行うか精霊魔法の『ヒーリング』、或いは神聖魔法の『トランスファー・メンタルパワー』(譲渡精神点は1点で大丈夫です)か『リフレッシュ』が必要です。
但し、ウーシュー使いであれば無条件でオチた状態から復活させる事は出来ます。
以下に『蛇』を仕掛ける際の修正及び制限を載せておきます。
・立っている相手には−4のペナルティ(『組み手』と相殺で実質−2)
・転倒している相手には−2のペナルティ(『転倒』状態の修正と相殺されるので実質±0)
・金属鎧など『首の防御に気を配っている』鎧を着ている相手には仕掛けられない
・人間に準じない体格のものには仕掛けられない
・自分より1m以上大きなものには仕掛けられない
・アンデッド及び魔法生物には効果が無い(抑える事だけは出来る)
・LV9気功術
心氣合一
(しんきごういつ)
持続:一瞬/集中(発動するまで) 基本消費精神力:45 距離:接触 範囲:個人
バギツの究極の理念そのものといって過言ではない気功術です。
相手の体に触れるだけでそこに働くベクトルの全てを利用して投げ飛ばします。
自分から仕掛ける場合は組み手が必要です。
相手の攻撃を捌いてそのまま投げる事も可能です。この場合は持続を『集中』とします。相手の攻撃を回避すると同時に、攻撃判定に移行できるのです。この際の回避には修正は付きません。
攻撃判定の方法は『投げ技』と基本的には同じですが、決定的に異なるのは
あらゆるペナルティを受けない
事です。
唯一の例外は『空を飛んでいる存在には使用できない』だけです。
それ以外は、たとえ相手がキメラだろうと巨人だろうと投げ飛ばす事が可能です。
ダメージの算出は特殊な扱いになります。
まず、自分から仕掛けた場合の打撃力は一律
30
、
クリティカル値12
、追加ダメージは
『ウーシューLV+器用度』
となります。
相手の攻撃を捌いて投げた場合は、やや特殊な処理をします。
相手が人間の場合のダメージは
打撃力30
、
クリティカル値12
、追加ダメージは
『ウーシューLV+相手の筋力ボーナス』
となります。
相手がモンスターの場合のダメージは
打撃力0
、
クリティカル値12
、追加ダメージは
『ウーシューLV+相手の打撃点』
となります。打撃点(攻撃方法)を複数持つ場合は、捌いた攻撃の打撃点を用います。
つまり、本来相手が与えてくるはずのダメージに比例して大きくなるわけです。そのためプレイヤーがダメージの詳細を知らない事も有り得ますが、それらの処理はGMサイドが行います。
鎧減点が出来ない事、『朦朧』や『転倒』の扱いはそのまま『投げ技』に準じます。
ウーシュー技能
諸設定
ネットでTRPG
てーぶるとーくの部屋
店先に戻る