−FarEast Investigation&Research調査結果−

外見的特徴

「なンだい、シケた顔して。
シャキッとしないかい」

ランク

略歴

誰からも忘れ去られたスラムの奥まった路地裏に、その道場は在る。草雲舘 ――― 『鬼を狩る武術』と謳われた、月篠流古武術の道場だ。月篠雅草はその草雲館の館長であり、同時に第五十二代目月篠流正統継承者でもある。
『鬼を狩る』という肩書きは伊達ではない。月篠流は“災厄”以前から脈々と受け継がれる、打ち、投げ、極める ――― およそ人体の構造全てを極限まで生かし、あらゆる方法で対象を無力化する実戦の中で磨き上げられ、練り上げられてきた武術なのだ。
その技の凄まじさ、あるいはえげつなさは近代の格闘界からは異端、ともすれば野蛮とすら（格闘家が野蛮などと口にするのは笑止だが）言われているが、その強さに関しては誰もが本物と認めている。勿論、技自体に強さはない。その技を使いこなせる人間が、強いのだ。
そして雅草は間違いなく、月篠流の技を躊躇無く、余すところ無く使える。彼女の性質自体は好戦的では決してないが、売られた喧嘩はもとより降りかかる火の粉に容赦するほどの博愛主義者でないのも確かだ。
あっけらかんとした、面倒見の良い姉御肌の雅草を見て誰もそうとは思わないのだが、『鬼狩人』の二つ名は、決して大袈裟ではない。そしてまた、それは一面の真実でもある。
雅草、いや、月篠流継承者は、本来退魔師として技と心を練り磨いてきたのだ。“災厄”の遙か以前からの日本古来の魔物、鬼を狩るために。
その役目は、この“堕ちた楽園”においてすら、何も変わることはない ―――

《黄泉還り》